2009年9月アーカイブ

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西江辰郎&ジュゼッペ・アンダローロ(R→L)
photo: Kazuhiko Suzuki


この度お待たせしていた新しいCD「カプースチン」をfontecよりリリースさせて頂けることになりました!

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内容曲はジャズピアニストでもあり作曲家でもあるニコライ・カプースチン(Nikolai Kapustin)氏(1937-)のヴァイオリン・ソナタ(1992)をメインに。それにジャズ繋がりで第二楽章にブルースを取り入れた、ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ他、クライスラーの小品などです。


一言で「CD制作」といっても、録音の方を初め、エディット、マスタリング、デザイン、プロデュース等、本当にたくさんの方々の力添えがあり、初めて出来るものです。みなさんに本当に感謝!いろいろわがままも聞いて下さいました...
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本番ではカプースチンの演奏前、携帯電話の開閉音が鳴るというアクシデントがありましたが、ジュゼッペの"音まね"で、二度目の際には僕も一緒に!会場の中からは笑い声が...
お陰さまでジャズを始めるにはモッテコイの雰囲気が出来上がりました。(笑)
記念にCDの1トラック目はこの携帯電話の音から始まり、カプースチンのソナタへと続きます。

カプースチン氏はウクライナ(ロシア)のジャズピアニストで作曲家です。彼の作品は、最近では学生の間でも特に人気。クラシックしか知らない人でも、ちょっと天才になったような雰囲気が味わえるからでしょうか?
このヴァイオリン・ソナタは偶然にも出版前に楽譜を入手でき、よし!やってみようということでリサイタルのメインに組みました。2009年末にMusT社から出版予定です。ちょっといつもとは違う雰囲気が楽しめます!
第一楽章はジャズが「ソナタ形式」という衣をまとって動き回っている感じ。第ニ楽章はウイスキーを飲みながらバーで一服...。第三楽章は繰り返されるテーマに引き込まれていく感じの曲です。

チャイコフスキーは3曲まとめて演奏されることはあまりないかも知れませんが、この中の初めの曲が、もともとはヴァイオリン協奏曲の第ニ楽章として構想されていたというのは面白いですね。

ラヴェルは猫が大好き。壊れたおもちゃや、調律のくるったピアノ、こどもの玩具やオルゴールも大好きでした。
このソナタにも教会旋法という昔の音階が使われていて、1オクターブにあと半音たらない重音などは、きっとくるったピアノですね!


CDは本番とはまた異なり「一つの作品」と私は思っているので、制作にも時間をかけて取り組みました。こだわりを聴いていただけたら嬉しく思います。
ジュゼッペともまた共演したいな?
会場で皆様にまた演奏をきいていただけるのを楽しみにしています。新日本フィルもどうぞ宜しく!


西江辰郎

オフィシャル・ウェブサイト:

withbeethoven.jpg 尊敬するベートーヴェンの胸像と

私は日本人だが、高校卒業後ドイツで主な音楽教育を受け、そこで20年近くも過ごしてしまったせいで、ちょっと何かがずれてしまったように思う。実にいろいろな事に興味を持ちすぎたかもしれない。
作曲を学び、私が行う事は広い意味で現代音楽なのだが、今日でもなかなかそうは思ってもらえない。

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ドイツではコンピュータや新しいメディアを使った作品をずいぶん作ったが新しいメディアに興味があった訳でない。それを通して出てくる人間の感覚、認知の新しいかたち、そしてその向こう側に広がる世界観に興味があった。

1999年にドイツで出版した音を中心に視覚を含めたメディアアート作品、「Small Fish」より。画面上のオブジェクトを操作し演奏する。


2000年に日本にもどってからは、まずワークショップという形式にとても興味をもった。ブーレーズはオペラ座を爆破しろ、と言ったけど、私は現代音楽の持つ、神話に取り巻かれた偉大なる作曲家がいて、その反対側に聴衆がいるというような構図にはちょっと限界があると思った。リオタールが言うように偉大なる物語は終焉を迎え、それはおそらく音楽でも同じかなと思う。作品性や作家性にたよらない後産業化社会のあたらしいアートのかたちとしてワークショップのデザインを行ってきた。
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2005年にソウルで行った聴覚障害者のための新しいメディアを使ったワークショップ。手で触るスピーカーなども考案し、参加者と音や視覚を使った表現を行った。




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といっても外見やインターフェイスを替えただけでは状況は良くならないので、泥臭く音楽のシンタックス、とくに視覚もふくめたマルチモーダルな表現の研究も行ってきた。

作曲のために開発した視覚音楽言語=ASN(active symbol notation)。グループ化された音とそれら演奏するオブジェクト、構造変型のための音楽関数オブジェクトよりなる。

現在は理化学研究所でも客員主幹研究員として脳の計測を通してある仮説の検証を行っている。「彼はいったい何をしているんだ」、というような声も聞こえてくるが、実はこれこそが音楽のシンタックスの根っ子にある問題なのである。
音楽認知において一番最初にある問題は音楽の分節化の問題である。分節化があって初めていろいろなレベルのグループの関係性から音楽のシンタックスが生じてくる。この夏は分節化の要因の一つであり、終止音(フィナーリス)から発達してきた終止形の認知についての実験を重ねている。


あまり深く掘りすぎているのかもしれない....しかし、どうも夢を見果てることはないようである。


古川 聖